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中国のECサイト「タオバオ」、「T-Mall」、「アリババ」の違いとは

中国には、「タオバオ」「T-Mall」「アリババ」というインターネットショッピングを行う上でとても有名なサイトがあります。これらはECサイトと呼ばれ、今の中国社会の中でなくてはならない存在となっています。

 

名前こそ知りませんが、実はこれらのサイトとよく似たものを私たちもよく聞いたり利用したりしています。ここでは、この3つのサイトについてわかりやすく説明していきます。

 

■ECサイトとは?

そもそもECサイトとはどんなものかご存知でしょうか。ECは「electoric commerce(エレクトロニックコマース)」の略で、電子商取引のことをいいます。わかりやすく言うと、ネット上で様々な人や会社が取引できるサイトのことで、日本では「楽天市場」や「ヤフーオークション」などが有名なECサイトになります。

 

たとえば「楽天市場」という大きな仮想商店街の中に、それぞれの店舗が独自運営でお店を出していたり、「ヤフーオークション」という大きなオークション会場にみんなが集まり売買を行っています。このような形態のウェブサイトのことを「ECサイト」と言うのです。

 

■タオバオとは

タオバオは正式名称を「淘宝網(タオバオワン)」といいます。2003年に設立されたショッピングウェブサイトですが、2年ほどの間で急成長を遂げ、中国のオンラインショッピング市場内で約70%ものシェアを誇ります。

 

「見つからない宝物はない、売れない宝物はない」という意味でつけられた「淘宝(タオバオ)」の名の通り、中国でインターネットショッピングをするうえでなくてはならないウェブサイトとなっています。

 

出店する際に費用がかからず、携帯電話と身元認証のみで店が出せることもあり、ネットショップを出店する上でのハードルが低いことも人気のひとつです。

タオバオは基本的に「CtoC」の個人間取引であり、日本では個人同士の取引が行われる「ヤフーオークション」に似ています。

 

■T-Mallとは

T-Mallは「天猫」とも呼ばれるインターネット上のショッピングサイトです。実はもともとタオバオの一部として運営していたのですが、2012年に「天猫T-Mall」に名称を変更してドメインを取得し、独立のような形で新しく運営を開始しました。

T-mallの特徴としては、厳しい出店基準を設けることで販売する商品の信頼性や品質を高めていることにあります。

 

とかく偽物や模倣品が多い中国市場の中で、特に偽物が多く出回ることが多い本物の海外の有名ブランド商品が安心して購入できるということは大きな意味を持ちます。また、購入して一定期間内であれば返品や交換を可能にして利便性を高めています。

 

これらのサイトの質の高さが評価され、2012年に一新したばかりという歴史の浅さに関わらず、T-mallの人気は非常に高く、気軽さが売りの反面偽物なども多く出回ることが多いタオバオとの差別化に成功しています。

 

T-Mallは個人間取引であるタオバオとは異なり、「BtoC」の企業と個人間の取引であり、日本でいう「楽天市場」のような位置づけのサイトです。

 

■アリババとは

アリババは1999年に創業した中国のネット通販会社です。2014年9月にニューヨーク証券取引所に上場し、今最も勢いのある会社のひとつです。BtoBの企業間取引をはじめ、BtoCの企業と個人間取引、CtoCの個人間取引のオンライン取引のプラットフォームや決済サービス、クラウド・コンピューティングなど様々なサービスを提供する7つの事業体にわかれており、それらの各会社をまとめてアリババグループといいます。

 

その規模は世界的有名企業であるAmazonやeBay、日本の楽天市場などの取引額を全て足してもアリババグループの取引額に届かないほどです。しかし、これほどの規模を持つ企業でありながら、その基本は中国経済のことを考えたものであり、特に中国の中小企業が利益を上げられるようなサービスを展開しています。

 

上記のタオバオ(淘宝網)、T-Mall(天猫)もこのアリババグループであり、今日中国国内での電子取引がここまで浸透したのもアリババグループの功績といえるでしょう。

今までは国内外に中小企業の商品やサービスを売り込む手立てが少ないというスモールビジネスにありがちな悩みを、アリババグループによってその可能性を大きく広げることができるようになりました。

 

しかし、今現在中国のネット業界はアリババグループに大きく依存している状態であり、その依存度の高さを危険視する声もあります。今後中国市場がどう変化していくのかが注目されます。