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【2019年版】沖縄県のインバウンド情報

インバウンドの現状

東京オリンピックなどの大きなイベントを前に、訪日外国人観光客数は年々伸び続けています。その波は沖縄にも影響を与えており、アジア圏を中心に多くの外国人観光客を獲得しています。2017年度のデータでは、訪日外国人のうち7.3%は沖縄観光に行っているというデータも出ているほど。この数字は沖縄県の面積に対して、非常に比重が大きく、全国9位の実績となっています。

さて、ここからはもう少し詳しく、現状についてご紹介したいと思います。
(1)各国からの観光客数

 

中国本土 77,200人 全体の32%
台湾 58,700人 全体の24%
韓国 48,900人 全体の20%
香港 10,900人 全体の5%
アメリカ 2,600人 全体の1%
タイ 2,500人 全体の1%
シンガポール 1,800人 全体の1%
その他 37,500人 全体の
合計 240,100人 100.0%

※参照:(平成31年2月)沖縄県文化観光スポーツ部 観光政策課
https://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/statistics/tourists/documents/h31-2gaikyou.pdf

全体的に中華圏からの観光客が多くなっています。というのも中国本土から沖縄に向けてクルーズ船が就航しており、航空路線と併せてアクセスできるようになっているからです。今後も大型クルーズ船の寄港が増えることになっており、ますます増加傾向になることが予想されます。

(2)ハワイ超え
そんな沖縄県ですが、2018年1月31日に一つの大きな節目を迎えていたことをご存知ですか?それは「観光客数でハワイを超えた」ということです。こちらは国内からの観光客数も含んだ数字ですが、ハワイを目標にしてきた沖縄県にとっては大きなニュースとなりました。観光客数全体のうち、約30%はインバウンドが支えており、ハワイ超えに寄与したと言えるでしょう。

(3)ウェルカムんちゅ
こちらは英語の「ウェルカム」と「島んちゅ」を合体させた造語です。現在、沖縄県では「ウェルカムんちゅになろう。」を合言葉に、観光客へのおもてなしを強化しています。
・Be.Okinawa 多言語コンタクトセンター
・Be.Okinawa Free Wi-Fi
など、インバウンド向けのサービスも多数展開しており、利用者に好評です。

このように沖縄県では、県内各地の観光地で多数の外国人を見かけるようになっています。今後は沖縄本島だけではなく、離島への誘致やさらなる観光客の呼び込みもより活発になることと思います。

今後の発展

このように今までにない盛り上がりを見せている、沖縄県のインバウンド状況ですが、課題もいくつか出てきています。ここからはそういった課題を中心に、「どうすればさらなる発展を遂げることができるのか」について見ていきましょう。

(1)外国語対応能力
沖縄県を観光した外国人観光客は、基本的に満足度が高い旅だったと回答しています。しかし気になる点は、沖縄県の外国語対応能力です。ショッピング・食事など、さまざまな場面で英語や中国語が通じないことがあるようです。こうした外国人観光客に対して、今後どのように多言語対応をしていくのか、がポイントになります。
沖縄県民は温かい人が多いことで知られる県です。多言語対応が可能になれば、そういった県民の温かい「おもてなし」を感じてもらえる良い機会になるでしょう。

(2)インフラ整備
沖縄県では急増する観光客に対応するため、インフラの整備が重要となっています。

●国道58号線
沖縄県の大動脈、国道58号線は急増する観光客に対応できず、常に渋滞をしています。そんな状況を改善するために、沖縄県では国道58号線の拡張工事を行っています。片側5車線道路が完成すれば、今よりもスムーズに観光を楽しめるようになるでしょう。

●那覇空港
那覇空港は利用する航空便の増加・観光客数の増加に伴い、空港の過密化が問題となっていました。それを受けて、現在第二滑走路の増設を行っています。あわせてこれまで別々の建物になっていた、国際線と国内線のビルを繋げる工事も行われています。これまで不便な場所にあったLCCも、利便性が良くなるように改修されるそうです。
さらに国際線ビルの税関・出入国管理・検疫スペースは、2倍の広さに拡張され、外国人観光客がスムーズに手続きできるようになるそうです。完成すれば、外国人観光客の空の旅がさらに便利になりますね。

●鉄道
現在、沖縄県では鉄道を建設する計画が持ち上がっています。どういったルートになるかは未定ですが、これを機にさらに利便性がアップしますね。また中国本土では、車などの車両は右側走行です。しかし沖縄観光する際は、左側走行を行わなくてはなりません。それによる事故も多数発生しているのが現状です。もし鉄道が完成すれば、外国人観光客が慣れない運転をする必要もなくなり、安心して沖縄を楽しめるようになります。

●那覇港・泊ふ頭
沖縄県では毎日のように大型クルーズ船が寄港をしています。2017年度は515回の寄港でしたが、2018年度は528回に増加し、2019年度は697回もの寄港が見込まれています。こういった多数のクルーズ船受け入れには、港の整備も欠かせません。そして現在、こちらの整備も進行中です。今後さらにクルーズ船の受け入れが可能になれば、さらなる発展が見込めますね。

(3)さらなるハワイ超えに向けて
観光客数でハワイを超えた沖縄県ですが、消費額・滞在日数はまだまだハワイには及びません。ハワイでは観光客の平均消費額が、約19万円を超えていますが、沖縄は平均7万円台におさまっています。また滞在日数に関しても、ハワイが8.95日間に対して、沖縄は4.95日となっています。
今後はこういった点でもハワイを超えられるように、長期滞在用の宿泊施設やショッピングエリアが必要となりそうです。

(4)人材確保
こうした観光面での盛り上がりを受けて、沖縄県内では宿泊施設やレストラン、小売店が急増しています。しかし島内の限られた人口で対応しなければならないため、どのお店でも人材不足が続いています。売上を上げるチャンスにも関わらず、これではもったいないというのが現状です。外国人労働者の確保・沖縄県への移住者確保など、さまざまなことを含めて、今後どのように対応していくのかが課題です。ここをクリアすることができれば、「おもてなし」の質も上がり、リピーターを増やせるかもしれませんね。

まとめ

沖縄県は今後もさらなる発展が見込まれる県です。アジアの国々に近いという地理的なメリットを生かして、多くの外国人観光客を呼び込むことができます。と同時に解決すべき課題もあるので、これからの動向にも注目ですね。