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とうとうYahooまで中国検閲の規制の対象に!検索機能全面的に利用不可

■ヤフー検索ができなくなるまで

Googleは中国政府による検閲やハッキングなどを受け、2010年に中国国内での検索サービスを停止しています。Googleが使用できなくなったものの、Yahoo!を使った検索は可能だったためユーザーはそちらへ移ることになります。

 

その後2013年になるとYahoo!は中国での事業からの撤退を発表し、中国の阿里巴巴(アリバ)グループにYahoo!メールなどのサービスを移した後、中国北京にあった拠点を閉鎖しました。

 

そして2017年9月中旬ころに、Yahoo!のパソコンサイトでの検索サービスやYahoo!提供のアプリの使用ができなくなりました。中国政府は2017年6月にインターネット安全法というサイバー空間における統制を強化する法律を施行しているため、この影響によると考えられています。

 

Yahoo!は「中国で検索サービスが使用できないことを把握はしているものの、Yahoo!側でトラブルや不具合は確認されていない」という内容の発表をしています。つまり暗に「中国側による規制の結果」だと示しているのです。

 

■なぜここまで規制するのか

・中国国内企業の育成

GoogleやYahoo、様々なSNSは誰もが知り、利用するインターネットサービスです。インターネット事業は世界的な有名企業の力が圧倒的であり、新規参入は非常に難しいのが現状です。

 

そのため、政府は海外のインターネットサービスを締め出すことで、国内の企業の育成を図る狙いがあるのではないかとみられています。

 

実際にGoogleやYahoo!が撤退することで、中国国内のインターネット業界は活性化し、急成長を遂げています。百度(バイドゥ)という中国の検索サイトはいまやGoogleに迫る勢いのある世界的企業となりました。

 

自国の企業の成長は政府にとってなくてはならないことですから、激しい規制の裏側にはこのような狙いがあったのかもしれません。

 

・反政府活動の抑止目的

これほどまでに中国国民のインターネット利用に関して厳しい規制が行われているのかといえば、最も考えられるのは「反政府活動の抑止」です。

 

様々な写真や動画、意見を見たり聞いたりできるインターネットの世界を利用して、政府への批判を持つ人が増えたり、何かしらの反政府活動が起こることを恐れていると考えられています。

 

実際にSNSを利用することで若者の参加者を増やしたデモが世界で起こっているため、中国政府が恐れるのも無理はないのかもしれません。中国政府はこのような厳しい規制について、公式なコメントを出していません。ですが、反政府活動の抑止のためだという考えが広がっていることについて否定するコメントもありません。

 

結局は、政府にとって都合の悪い情報のやり取りを遮断しつつ、自国企業の保護と育成も成功しています。このインターネット規制は、まさに一石二鳥の政策といえるのではないでしょうか。

 

その他現在までの検閲情報について

 

中華人民共和国では、インターネットに関する検閲が行われています。中国国民個人のインターネットアクセスが監視され、その内容によっては法律違反となり罰せられてしまうのです。

 

個人の閲覧を監視するためのインターネットポリスの数は30,000人以上だともいわれており、ブログや動画、SNSといった様々な場所で監視の目が入っています。

これほどまでに中国が国民のインターネット閲覧に対し規制をするのはなぜなのでしょうか。

 

■金盾プロジェクトとは

中国政府によるインターネット閲覧の規制は「金盾工程(金盾プロジェクト)」と呼ばれています。この金盾プロジェクトによって特定の内容が記載されたサイトにアクセスできないような仕組みになっています。

 

何か政府に反発的な意見を発すると、早ければ数分後にはその意見は削除されます。場合によっては数日以内に家の玄関を警察がノックする事態になるわけです。それでも反発的な意見を言いたい国民は、直接的な表現をせず、暗号のような言い方を駆使して意見交換を行っています。

 

■検閲を受けるサイト

・中国共産党(中国の政権政党)に反発する団体のウェブサイト

・警察官の汚職や残虐行為に関するニュースや情報を扱うサイト

・台湾関連の政府や組織に関するサイト

・ダライ・ラマに関係する情報、チベット独立運動関連を扱うサイト

・わいせつ物、ポルノなどの道徳的ではないサイト

・Youtube、ニコニコ動画、Ustreamなどの動画サイト

・Flicker、Instagramなどの写真共有サイト

・Twitter、Facebook、LINEなどのSNS

・Dropboxなどのオンラインストレージサービス

簡単に言えば、反政府組織や宗教、反道徳的なサイトが該当しています。また個人が発信しているSNSや動画サイトもそれらの内容を含む情報がやり取りされることもあるとして、検閲の対象になっているようです。

 

■使用できないサイト

・Google、Yahoo!などの検索サイト

・GoogleマップやGmailなどのGoogleが提供しているサービス

・Wikipediaなどのオンライン百科事典

とにかく何かを調べようとする行為が規制されていると言わざるを得ません。中国国内の回線を使っている限り、たとえ政府に無関係なことですら検索することが難しくなります。

 

中国国内の特定の検索エンジンの使用は許可されていますが、検索ワードのフィルタリングが設定されています。検閲されているワードを検索しても、希望するような検索結果を得ることは難しいです。もし政府が厳しく検閲している検索ワードを検索すれば、金盾によって通信が遮断されしばらく復旧できません。