沖縄と台湾は気候や文化が似ており、ここ数年交流が盛んになっています。台湾は親日家が多く、そのため中国市場に乗り出す日本の中小企業の窓口的立場も担っています。海外への赴任をストレスに感じる日本人は多いですが、台湾への出向者のストレスは比較的少なく、特に沖縄県出身者は台湾でストレスなく自然体で過ごせると評判です。今回は沖縄県と台湾のビジネスのためにどんな取り組みがされているかまとめてみました。
■沖縄県知事のトップセールス
観光収益の大きな沖縄の翁長知事は2016年11月に台湾にて「沖縄県トップセールスin台湾」を開催しました。目的は台湾からの観光客を増やすことですが、そのために離島便の拡充や大型機材による通年運航などビジネスとは切り離せない交通インフラを整えるための意見交換はビジネスの観点からも無視できないものです。
沖縄から台湾までは飛行機で1時間30分ほど、これほど近い外国に対する交通インフラを整えることは世界的な貿易をする上で必ずプラスに働くと考えられます。東京からよりもよほど台湾に近いので、台湾を中心にビジネス展開しようと思う日本の企業は交通インフラが整うことで本社を沖縄県にすることを検討できるでしょう。日本のビジネスは東京中心に偏りがちになっており、人口の偏りや法人税(税収)などが問題視されるなか、台湾を視野に入れたビジネス展開は沖縄の可能性を高めることになります。
■沖縄と台湾のビジネスに国も期待
内閣府沖縄総合事務局が平成28年5月に発表された「沖縄と台湾との産業提携の促進について(沖縄・台湾企業間の産業貿易ビジネス対話の促進)」によると、同事務局経済産業部では沖縄がヒト、モノ、資金、情報の交流拠点となるアジアケートウェイを目指していることがわかります。
沖縄のものづくり産業(技術)、独自の技術や高品質や高信頼度のジャパン・ブランドを、アジア市場でもマーケティング力に定評ある台湾企業と連携させることで、沖縄と台湾は更なる発展が見込めます。ビジネスには相互を理解し信頼することが大切ですが、地理的、歴史的、社会的にお互いを理解・尊重して強い絆が築かれつつある沖縄と台湾は信頼できるビジネス関係が築きやすいと分析されています。
既に2015年~2016年にかけて4回ほど、沖縄の企業と台湾の企業のビジネスマッチングの機会を設けてきました(2016年6月のビジネスマッチングには沖縄県内企業約10社が参加)。今後もこのような取り組み、沖縄・台湾企業間の産業貿易についてビジネス対話の場を設けられる予定です。
■沖縄発の人気のアプリ「Payke」
株式会社Payke(ペイク)が提供しているアプリ「Payke」は爆買いで評判になった中国からの旅行者の話題になっている人気のアプリです。アプリを起動してバーコードをスキャンすると、利用者の母国語で商品情報や口コミを表示してくれます。
台湾では日本旅行のガイドブックとしておすすめのアプリだと紹介し、地元のテレビなどで紹介されたりします。アプリで利用するために登録されている商品情報は10満点以上、加盟している企業も600社以上です(2017年4月時点)。
株式会社Paykeは開発拠点・営業拠点を沖縄においています。代表取締役CEOの吉田氏は沖縄移住をきっかけに世界を視野に入れたベンチャービジネスを始めました。日本の玄関口は東京と言うイメージがありますが、東京出身の古田氏は沖縄に移住して外国人の友人が多くでき、それが海外を視野にいれたビジネスネットワークを築くキッカケとなりました。
■身近に外国人がいる環境を活かす
歴史と文化の類似点を見ると、海外との交流が盛んな点で沖縄と台湾はとても似ています。そのため日頃から外国人をターゲットとしたもの作りができ、マーケティングが提供できる素地が双方にはあります。そして中国市場というビックマーケットを背負いマーケティング力を磨いてきた台湾と、信頼と品質を常に高めてきたジャパン・ブランドを背負い独自に発展してきた沖縄は地理的に近いと言う点を踏まえても最強タッグと言えます。
沖縄と台湾はトップが先導して協力し合っている上に国の後押しもあるので、沖縄と台湾のビジネスは今後も成長していく可能性があります。今回は具体例として観光収益につながるアプリ開発でしたが、交通インフラが整えば沖縄県内で運輸業、製造業の拡大も予想されます。