沖縄ビジネス

沖縄の2大新聞(沖縄タイムス/琉球新報)のシェア率はなんと98%、沖縄の特殊な新聞事情とは

新聞は全国紙と地方紙の2種類があり、内容の好み等によってどちらを購読するかが決まります。都道府県ごとの新聞のシェア率は多少異なりますが、沖縄の地方紙2紙を合わせたシェア率はおよそ98%という異常ともいえる数字です。

 

県民のほとんどが「沖縄タイムス」もしくは「琉球新報」を購読しており、全国紙を購読している人は極ごく一部という、地方紙一強ともいえる沖縄県の新聞事情について説明していきます。

 

■沖縄県で全国紙が普及しにくい理由

沖縄県で全国紙が普及しにくい大きな理由は、やはり「離島だから」という一言につきます。新聞という形で最新のニュースを届けるには、「朝に届く」ということがとても重要です。前日までの様々なニュースや情報、今日一日のテレビやラジオ番組の内容などを朝の時点で知ることができるのが新聞の強みであり、その存在理由といってもいいでしょう。

 

ところが沖縄では、全国紙が沖縄の那覇空港に届くのが朝の10時すぎ、そこから販売所に届いて配達準備を行い、各戸に配達されるのが早くてお昼以降です。そのため、沖縄県内にある新聞社に委託印刷を行っている「日本経済新聞」が5,800部にも満たない部数で沖縄県内での全国紙でトップ購買数というのだから、その全国紙の普及率の低さがよくわかります。

また沖縄では訃報の情報が近所づきあいには非常に重要であり、どちらの新聞においても訃報の情報を掲載しています。

沖縄のおじい、おばあの中には他の記事は読まないけど毎日訃報の情報だけはチェックするといった光景も見られます。

 

■2大新聞「沖縄タイムス」「琉球新報」について

沖縄の2大新聞と呼ばれるのは「沖縄タイムス」と「琉球新報」です。この2つの新聞の違いは、はっきり言って「ほとんどない」と言えます。

 

しいて言えば同じ内容の情報でも、読みやすさやフランクさを多少入れたのが「沖縄タイムス」、いかにも新聞らしい硬めの言い回しや表現をしているのが「琉球新報」です。沖縄タイムスの創立が1949年であるのに対して、琉球新報の創立は1893年、いわば「元祖沖縄紙」です。そのため、言い回しや表現の基準が少し異なるのかもしれません。

 

■2大新聞の「偏向報道」への批判

数年前にとある放送作家が「沖縄の2つの新聞は潰すべきだ」という内容の言葉を発しました。なぜそんなことを言ったのかというと、この2紙が「偏向的な報道をしている」からだと同氏は言います。

 

実は以前から、沖縄タイムスと琉球新報は共に「偏った内容の情報を発信している」「批判的な意見は掲載されない」と言われていました。新聞という情報源の内容を自分たちの都合の良いように表現し、沖縄県民の認識をも左右しようとしているというのです。

 

沖縄では、何年も前から米軍基地を取り巻く様々な意見がありますが、この2紙は「新基地建設反対」「米軍基地はいらない」という姿勢をとっています。基地への批判こそが沖縄全体の意志である、沖縄では基地に対して肯定的な意見はないのだと2つの新聞でこぞって主張しています。

 

このような一方的な意見のみが新聞で大きく取りざたされ、反対意見はほんの小さな記事程度でしか記載されない、もしくは一切取り上げられない報道が行われている現状に、「公正中立であるべき新聞のすることではない」と批判が集まっているのです。「反基地」が悪いのではなく、一方の声のみが大きくなりすぎることが良くないのだと、沖縄県民も理解はしています。

 

ですが、やはり反基地の声が大きい沖縄において、新聞の購買シェアを広げるためには、より声の大きな側につくしかないのが現状なのです。

 

■第3の新聞普及なるか

そんな2大新聞が圧倒的なシェアを誇る沖縄で、第3の新聞として県民に大いに期待されているのが「八重山日報」です。八重山日報は沖縄県石垣島に本社がある八重山日報社が発刊する新聞です。

 

元々は離島が多い県である沖縄で、石垣島の島民向けに発行されていた地方新聞でした。八重山日報社はこの沖縄の新聞事情に風穴を開けるべく、本島での八重山日報の発行を決断したのです。

 

たった2紙しか選択肢のなかった沖縄本島の県民は、この八重山日報の本島発刊に大いに期待し、発刊からわずか1か月で購読の申し込みが殺到し、あまりの人気に配達員の確保が難しいほどになっています。まだ目新しさから購買している層も多いと思われるため、安定した普及につながるかは未定です。

 

「公正中立」「事実を客観的に伝える」を軸にした八重山日報は、今後沖縄県の第3の新聞となっていけるのかが注目されます。