沖縄に関する2017年のマーケット情報です。引き続き沖縄の経済は好調で推移すると考えられています。ただし、増加する人口や雇用にインフラ整備が追い付いていない等、課題も残っています。
■沖縄県の2017年度実質経済成長率予想
2016年度の沖縄の実質経済成長率は+2.8%で、+3.4%の伸びを記録した2015年度と比較すると伸び率は下回っているものの、上昇傾向を維持することができていました。2017年の伸びは名目で2.1%、実質で1.8%と予測されています。2015年、2016年と比べると低いですが、人口の増加や国内景況の回復による消費や投資の回復に加え、引き続き入域観光客数の増加が見込まれているため、プラスになると見込まれています。
■沖縄の新たな経済の柱となる情報通信産業
沖縄は平成10年に「沖縄県マルチメディアアイランド構想」を策定し、情報通信関連産業の振興と集積に積極的に取り組んできました。その結果、平成28年1月の時点で380を超える企業の立地と27,000人を超える雇用が創出されました。いままでは県の経済を観光サービスに頼りっぱなしであった沖縄にとって、新たな経済の主軸となるIT・金融産業の発展、今後沖縄をさらに大きく成長させていくために欠かせないものとなるでしょう。
■沖縄の人口推移
沖縄県の人口は2017年8月の時点で144万2,460人となっており、1年まえの2016年8月と比較すると478人増加しています。人口の減少が続く日本において、東京に次いで2位の人口増加率を誇っており、都道府県別の平均年齢が最も低い県でもあります。人口が年々増え続けている要因は、婚姻率と出生率の向上に取り組み、子供を育てやすいセーフティネットの充実を図ったことや、沖縄が積極的に県外企業を誘致し、雇用の創出と人材の確保を目指して環境整備を行ったことが挙げられます。
■沖縄の労働力
2017年7月の時点で沖縄で何らかの仕事についている就業者数は約69万4,000人で、前年同月と比較して27,000人増え、15カ月間連続で増加しつづけています。製造業、卸売業、小売業に従事する人が増え、逆にサービス業、建設業、教育・学習支援業等が減少しています。
完全失業者数は約28,000人で、前年同月と比べると5,000人(15.2%)減少しています。失業理由は定年や雇用契約の満了によるものが最も多く、逆に勤め先の都合や自己都合による失業者以下しています。数は減少しています。ここから算出される完全失業率は3.9%で、前年同月に比べ0.8ポイント低下しています。ここでも県外企業の誘致によって雇用が増えたことが大きな要因であると考えられます。
■沖縄の物価指数
2017年7月の物価指数で全国平均を100にしたとき、沖縄県の消費者物価指数は総合指数で100.5、生鮮食品を除いた場合は100.6となっています。沖縄では食料品の物価指数が高めなのですが、これは県内で生産数が少ない食材を県外からの輸送に頼らざるを得ないことが大きな原因です。県外からの輸送コストが嵩み、それが商品価格に上乗せされるためどうしても食料品に関しては物価が高くなってしまいます。また、観光地であるがゆえに観光客の増加で食材等の消費量が上がり、そのまま物価の上昇に影響します。
ただし、2017年7月は生鮮食品の物価指数が96.1と、前年同月と比べて1.5%低くなっています。今年は全国的に雨が続き、本州でも生鮮食品が高騰したのが要因ではないかと考えられます。
沖縄の物価指数は前年同月と比較して著しい上下はありませんが、やはり全国平均と比較すると若干全体的に高めになります。
■沖縄の交通事情
沖縄県那覇市を中心とした通勤時間帯の道路渋滞は、全国で最も深刻とされており、沖縄の観光や産業の発展にとって大きな課題といえるでしょう。もともと公共交通機関が少な目で、車中心の社会になっているうえ、近年の経済特区への県外企業の立地で雇用が増え、それに伴い人口が増加しているのも原因になっています。人口や車は増え続けているのに道路や公共交通機関の整備が追い付いていないのです。もちろん増加し続ける観光客が乗る観光バスや観光タクシー、レンタカーも渋滞を生み出す原因になっています。
道路に影響されない交通手段としては、那覇空港から首里駅間を運行するモノレールがあります。現在は首里駅からてだこ浦西駅区間の延長工事が行われており、2019年の開業を目指しています。ですが風速が一定以上になると運転休止になってしまうこと、那覇市以外の場所には行けないことなど、渋滞緩和策にはなり得ないのが現状です。
■沖縄の観光客
沖縄にきた観光客の数は2017年7月ひと月で90万7,900人となっており、前年同月比で10万2,100人増え、45カ月間連続で過去最高を更新し続けています。時期的に旅行会社や航空会社の販売取り組みの強化や、深夜運航便などの航空路線の拡充があったことも大きな要因です。国内客は東京方面からの観光客が31万2,600人と最も多く、パッケージツアーの充実や夏休みシーズンの影響で前年を大きく上回っています。
海外からの観光客は29万2,700人と観光客の約1/3を占め、特に台湾や韓国といったアジアからの観光客が多く、航空路線の拡充や増便、クルーズ船の寄港階数の増加が影響したと考えられます。